藤田クリニック
症状・疾患について
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症状について

SYMPTOMS

症状について(男性泌尿器科)

MALE
男女共通の腎臓・尿路・副腎の病気に加え、前立腺、陰嚢・睾丸、陰茎などの男性生殖器の病気を中心に診療します。
男性は女性よりも尿道が長く、急性膀胱炎は起こしにくいのですが、加齢とともに前立腺の影響により尿道が閉塞するため、尿の勢いが悪くなる特徴あります。男性特有の病気には、前立腺がん、慢性前立腺炎、勃起不全などがあります。

以下のような自覚症状があるようであれば、受診ください。

  • トイレが近い
  • 頻繁に夜中に起きてトイレに行く
  • 尿が漏れる
  • 排尿に勢いが無い
  • 尿が出にくい
  • 尿が出なくなった
  • 残尿感がある
  • 尿をしてもすっきりしない
  • 尿をするときに痛みがある
  • 尿をした後に痛みがある
  • 尿に血がまじる
  • 尿検査で陽性(尿潜血・たんぱく尿)を指摘された
  • 尿道や股間の奥(会陰部)に不快感がある
  • 膀胱炎が治らない(再発するなど)
前立腺の疾患(尿が出にくい、頻尿)
前立腺は男性にだけある臓器で、尿の通り道である尿道を囲むように存在します。加齢によって前立腺が肥大することにより様々な症状が出現します。自覚症状に乏しいケースも多いのですが、排尿障害で気付くことがあります。
症状として、軽い排尿障害が主な初期症状です。頻尿、夜中に尿意で目覚める、尿の勢いが弱くなった、尿意があっても尿が出るまでに時間がかかる、排尿に時間がかかる、残尿感でスッキリしないなどです。
ただし、こうした自覚症状なく進行してしまうケースもあります。無症状のまま残尿が増加して慢性尿閉を起こしていることもあります。
無症状の前立腺肥大
健診エコーで前立腺肥大を指摘される方が増えております。そのうち自覚症状がない前立腺肥大は、尿流測定検査・残尿検査で排尿障害を認めなければ経過観察で問題ありません。しかし、軽症者を4年間観察したところ31%で症状の悪化を認め、4.9%で尿閉を生じたという報告もあります。そのため症状がなくても、1年に一度は尿流測定、残尿測定、PSA検査で経過をみることが前立腺肥大症ガイドラインでは推奨されております。
前立腺肥大症のクスリで精液が出なくなった
前立腺肥大症の内服薬であるα遮断薬の副作用で精液が出なくなることがあります。α遮断薬は前立腺と膀胱頸部の平滑筋を緩めて尿の出を良くしますが、射出障害(精嚢の収縮が抑えられるため尿道への精液の排出量が減る)や、逆行性射精(膀胱出口の筋肉が緩み精液が膀胱内に逆流する)を起こし精液が出なくなることがあります。どちらの場合も体に悪影響はありませんが、不快であれば他のクスリもありますのでご相談下さい。
急性前立腺炎(排尿時痛+発熱)
前立腺が炎症を起こしている状態で、尿道から入ってきた細菌が増殖するなどによって生じます。症状として、38度以上の高熱、排尿痛、排尿困難、頻尿などが主な症状です。悪化すると尿が出なくなる尿閉を起こすこともあります。
慢性前立腺炎
下腹部症状(骨盤周囲の疼痛、排尿時痛および射精時の疼痛や不快感)と排尿症状(頻尿、残尿感、尿意切迫感など)を主症状とする症候群が6カ月間のうち3か月は持続し、前立腺がん、膀胱がん、尿路結石など認めない場合に慢性前立腺炎と診断します。症状は良くなったり、悪くなったりと波がありますので、症状に付き合いながら治療を行っていく疾患です。
単独の治療法より併用療法の方が有効との報告もあり、当院ではα遮断薬、抗炎症薬、漢方薬、抗菌薬など、個々に合わせた治療法を行っております。
また症状悪化を起こす行動や飲食を控える行動療法も有用です。危険因子としては、長時間の坐位などの前立腺の機械的刺激、疲労、ストレス、飲酒、冷えなどがあります。
尿閉(尿が出なくて苦しい)
前立腺肥大で尿道が圧迫されている場合、何らかのきっかけで尿の通り道が閉塞し、尿が出せなくなることがあります。飲酒、風邪薬、高度の便秘が尿閉の原因となりえます。 尿閉となった際は尿道カテーテルを留置して対応します。尿閉時には膀胱内に400mlから多いと1000mlほど尿がたまり、膀胱が過伸展を起こします。尿を排出するためには膀胱が収縮する必要がありますが、膀胱筋肉が過伸展を起こすと膀胱収縮力が低下し、しばらく自力では尿を排出することが出来なくなります。その際は内服薬を調整した上で1週間ほどしてからカテーテル抜去を試みます。前立腺肥大と診断されている方は、過度の飲酒や風邪薬に注意してください。尿閉を繰り返す方には、前立腺肥大に対する手術が勧められます。
前立腺がん
もともと欧米に多い前立腺がんでしたが、ライフスタイルの欧米化によって日本でも近年増え続け、男性に最も発症が多いがんになっています。前立腺の外側にがんが生じやすい傾向があるため自覚症状が出にくいのですが、現在はPSA(前立腺特異抗原)という高い精度を持ったスクリーニング血液検査やMRI検査の普及により、早期発見されるケースが増えてきています。
症状として、前立腺がんができても尿道の圧迫が起こりにくいので、自覚症状が現れにくいという特徴を持っています。早期発見されるケースは無症状で受けた人間ドックなどのPSA(前立腺特異抗原)検査によるものがほとんどです。進行すると頻尿、排尿困難、排尿障害といった症状を起こします。
こうした症状は前立腺肥大症でも起こるため、正確な鑑別が必要です。鑑別には採血によるPSA(前立腺特異抗原)検査が有効です。
PSA高値
PSAとはprostate specific antigen(前立腺特異抗原)の略語で前立腺細胞から分泌される蛋白質です。PSAが高値を示す疾患として前立腺癌、前立腺肥大、前立腺炎などがあり、これらの鑑別が重要となります。検診でPSA高値を指摘された場合の検査は、①超音波で前立腺の大きさを確認、②尿検査で細菌がないかを確認、③直腸診で前立腺の硬さを診察、④PSA再検査を行います。これらの検査を総合的に判断し、前立腺癌によるPSA高値が疑われた場合には、更に詳しい画像検査であるMRI検査を行います。MRIで前立腺癌が疑われた場合は、年齢・全身状態を考慮の上、前立腺生検(麻酔をかけた上で前立腺に針を刺し組織を採取すること)へとすすみます。前立腺生検を行う場合は、連携病院への紹介となります。
PSA検査の種類
PSAは4以上で高値と診断されますが、年齢や前立腺肥大でもPSAは上昇します。PSAの診断精度を高めるために、いくつかのPSA関連マーカーがあります。
1.PSAの経年変化を利用したマーカー
PSA年間増加度(PSA velocity ng/ml/年、基準値 0.75以下)
2.PSAと前立腺体積を用いたマーカー
PSA density(PSA÷前立腺容積、基準値 0.15以下)
PSA transition zone density(PSA÷前立腺移行領域容積、基準値 0.35以下)
3. free/total PSA比
PSA free/total ratio(freePSA÷totalPSA、基準値25%以上)などです。
当院では、前立腺癌検出感度を上げるため上記のPSA関連マーカーを考慮し、MRI検査が必要かどうか判断しております。
前立腺MRI検査
血液検査でPSAが高値の場合は前立腺癌の検査が必要となります。しかし、PSAは前立腺癌の他に前立腺肥大や前立腺炎でも上昇します。PSA4-10の方では、前立腺生検を行った際に癌が検出される割合は2~3割と報告されており、不要な生検を減らし臨床的に意義の高い癌を見つけるためにMRI検査が有用となります。前立腺MRIの画像診断方法としてPI-RADS(prostate Imaging-Reporting and Data System)分類があります。カテゴリー1~5に分けられ、カテゴリー4・5は病変が1.5cm以上で臨床的有意癌が疑われるため生検が勧められます。カテゴリー3では生検陽性率は約30%ですので、年齢・全身状態を考慮し生検を行うかどうか決定します。カテゴリー1・2は前立腺肥大症によるPSA高値が考えられるため定期的なPSA検査を行います。当院では必要な方に対しては病院と連携しMRI検査行い、前立腺癌の診断向上に努めております。
前立腺生検で癌を認めなかった場合
前立腺癌が疑われた場合、前立腺生検で確定診断を行います。前立腺生検は前立腺(クルミ大の臓器)に、10数か所系統的に針を刺し組織を採取します。生検で癌を認めなかった場合、採取した前立腺組織に癌を認めなかったということであり、前立腺癌が完全に否定されたわけではありません。そのため生検後もPSA値の定期的な経過観察が必要になります。経過観察中にPSAの上昇を認めた場合は、直腸診、PSA関連マーカー、エコー、MRI等で精査し再生検が必要かどうかを判断いたします。前立腺生検で癌を認めなかったから大丈夫ということではなく、定期的なPSA検査が必要となります。
前立腺癌の予防
前立腺癌はもともと欧米諸国に多い癌でしたが、日本でも高齢化や食事の欧米化に伴い急増しています。明確に立証された予防法はありませんが、米国の前立腺癌予防ガイドラインでは、カロリー、脂肪、肉類の摂取を減らし、野菜、果物、繊維を多く摂取することが勧められます。昔ながらの日本の食事である、野菜・穀物・魚を中心としたバランスのよい食事、過度の飲酒を控え、適度な運動を行うことが勧められます。
前立腺癌のホルモン治療とは
前立腺癌はホルモン依存性癌であり、男性ホルモンであるアンドロゲンに依存して増殖をします。アンドロゲンは主に精巣から産生されるため、両側精巣摘除を行うことによりアンドロゲンを除去し前立腺癌を抑えることが出来ます。ホルモン治療とは、両側精巣摘除は行わずに、注射と内服薬によってアンドロゲンを除去し、前立腺癌の増殖を抑える治療法のことです。主に転移のある前立腺癌、高齢などで手術適応のない前立腺癌の方に対して行われます。副作用は性欲低下、勃起力低下、のぼせ、乳房の張りなどがありますが、抗がん剤治療とは異なり通常強い副作用が出ることは少ないです。ホルモン治療の効果は高く、約90%の方に効果があります。注射は外来で可能で、当院でも多くの方がホルモン治療を行っております。
治療を行わない前立腺癌
前立腺癌治療の選択肢として、すぐに治療を行わない待機療法や監視療法という方法があります。
監視療法は、悪性度の低い前立腺癌(生命予後に影響しない可能性がある)に対し、過剰治療や根治療法による副作用を減らすことを目的として、すぐに治療をせずに定期的な検査を行いつつ、適切な時期に手術や放射線治療を開始する方法です。
待機療法は、前立腺癌があっても症状がなければすぐには治療せず、血尿や骨転移による痛みなど症状が出現してからホルモン治療を開始する方法です。ホルモン治療は多くの場合効果があるので、症状が出現してから治療を開始しても前立腺癌を抑えることが出来ます。治療の開始時期に関しては、即時ホルモン療法と待機遅延ホルモン療法で明らかな効果の違いは報告されていませんが、悪性度の高い癌では待機療法による生存率が低かった報告があります。特に高齢者ではホルモン治療を行うことの不利益も考え、いつ治療を開始するかを個々の状態に応じて考慮する必要があります。
男性更年期障害
更年期障害は女性のものだけではありません。男性更年期障害とは男性ホルモン(テストステロン)の低下により、更年期に様々な症状を起こすことです。40歳以上の男性は男性ホルモン(テストステロン)の低下に加え、ストレスなどの誘因も加わり更年期障害を起こし増悪させます。男性ホルモン(テストステロン)は20~30歳にピークとなり、加齢とともに減少します。男性ホルモンは男性の性機能や脳に働きかけることで、意欲を促し、筋肉を増強させ、骨量を維持するなど様々な働きをしています。そのため、男性更年期障害は身体症状(疲労感・倦怠感、性欲低下、不眠)や精神症状(気力の低下、集中力の低下、イライラ、抑うつ)などな症状を呈し、社会的活動性に非常に関係します。全身の倦怠感や疲労感、不眠、気力の衰え、集中力の低下、イライラ、抑うつ、寝汗、のぼせなどの症状でお困りの方は、一度男性ホルモン値(テストステロン)を測定されることをおすすめします。
男性更年期障害とAGA治療薬
AGA(男性型脱毛症)治療薬は、男性ホルモンを低下させて脱毛を改善させるといった印象があるため、男性更年期障害の方でAGA治療薬の服用を心配される方がいらっしゃいますが、問題はありません。
テストステロンは主に精巣で作られますがそれ自体が脱毛に影響するのではなく、テストステロンが5α-還元酵素によって強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、このDHTが頭皮の受容体に結合することが脱毛の原因となります。AGA治療薬は5α-還元酵素阻害薬のことで、酵素を阻害しDTHを低下させることにより脱毛を抑制します。5α-還元酵素阻害薬によって血中DHT濃度は低下しますが、血中テストステロン濃度は増加しますので更年期症状が悪化することはありません。
男性更年期障害とうつ病の関係
男性更年期障害では、精神症状、身体症状、性機能症状と様々な症状が出現します。そのうち「抑うつ気分、疲労感、睡眠障害、性欲低下」は、うつ病でも認める共通した症状です。 テストステロンはうつ病で低下することもあり、精神症状が男性更年期による症状なのかうつ病による症状なのかを鑑別することは困難です。抑うつ感など精神症状が強い場合はまずは心療内科での診察をお勧めします。また、テストステロン補充療法がうつ症状を改善する報告もありますので、うつ病治療中で症状改善のない場合は一度更年期の精査をお勧めします。
男性ホルモンを上げる生活習慣
男性ホルモンは、治療以外にも日常生活に注意することによって上げる事が出来ます。
1. 運動を習慣化する
運動で筋肉が刺激されるとテストステロンが作られます。運動には有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など)、無酸素運動(筋トレなど)がありますが、運動を継続することが大事ですのでどちらでも構いません。 理想的には毎日20~30分程度の有酸素運動、週2.3回の筋トレを、朝または夕方に行うことです。就寝2時間前は交感神経優位になり睡眠に影響を与えますので控えた方がいいでしょう。なかなか運動する時間が取れない場合は、通勤時に早歩きをする、自転車通勤をする、移動にはエレベーターを使わずなるべく階段を使用する、などを心掛けることでも運動になります。
2. ストレスを減らす
テストステロンは主に精巣で作られますが、ストレスによって脳下垂体からの性腺刺激ホルモンが減りテストステロンが低下します。仕事や日常生活の中でストレスは生じますが、毎日のストレスを貯めずに減らすことが重要となります。ストレスを減らすには、リラックスすることが重要で、①入浴、②瞑想(目をつぶって3分~5分深呼吸を行う)、③読書、などが有効です。また十分な睡眠、運動もストレスを減らします。
3. 十分な睡眠をとる
テストステロンは夜中1時~3時頃に作られるので夜更かしは大敵で、「1日6~7時間の、質の良い睡眠」が重要となります。質の良い睡眠をとるためには、①入浴して体を温める、②就寝前2時間は食事・飲酒をしない、③就寝前はスマートフォンを見る時間を減らす、ことを心掛けてください。
4. 食事に注意する
テストステロンを増やすためには「タンパク質(脂身の少ない肉、魚類)」をしっかり摂ることが重要です。他には、「玉ねぎ」、「にんにく」、「とろろ」、「貝類」、「納豆」「うなぎ」もテストステロンを上げる効果が期待できます。また、アルコールは睡眠障害を起こし、テストステロンを下げるという報告もあるので、適量を心掛けてください。
尿道炎(排尿時痛、尿道から膿が出る)
性交渉後に排尿時の痛み、尿道から膿が出る、などの症状があれば尿道炎を考えます。尿道炎を起こす代表的な微生物として、淋菌、クラミジアがあります。
淋菌は、症状が強く、強い排尿時痛、膿性の尿道分泌物(黄色の膿)が、性交渉後3日から7日ほどで出現します。淋菌は薬剤耐性が強く、内服薬での治療が困難であるため、点滴での治療が必要となります。
クラミジアは症状が比較的症状が軽く、軽い排尿時痛、尿道違和感、漿液性の尿道分泌物(透明の膿)が、性交渉後1週間~3週間ほどで出現します。クラミジアは内服薬での治療が可能です。
いずれも感染が悪化すると、急性前立腺炎、急性精巣上体炎となり、高熱が出ることもあります。尿検査で診断することが出来ますので、性交渉後に尿道違和感など気になる症状があれば検査をお勧めします。
パートナーがクラミジアと診断された
パートナーが婦人科でクラミジアと診断された際には、男性も検査が必要です。クラミジア性尿道炎の症状は、排尿時痛や漿液性の排膿ですが、症状が軽度でほぼ無症状の場合もあります。クラミジア感染はお互いに治療をしないと再発を起こします。簡単な尿検査で診断出来ますので、症状がなくても検査することが勧められます。
精巣がん
陰嚢の左右に精巣が1つずつあります。精巣は精子をつくって男性ホルモンを分泌する役割を担っています。精巣がんは、精子をつくる精母細胞から発生するものがほとんどを占めると考えられていて、若い世代の発症が多い傾向があります。青年期(20歳代後半から30歳代)に多く、発症頻度は年間で10万人に1人程度です。予後が比較的良好であり、リスク要因には乳幼児期の停留精巣などが指摘されていますが、発生の原因はまだよくわかっていません。
痛みを起こすことがほとんどないため進行するまで気付かないケースが多くなっています。片側の精巣が腫れる、急激に大きくなる、硬いしこりがある、軽い違和感があるなどで気付くこともあります。
精巣がんは転移している段階でも根治できる可能性が高いので、違和感などに気付いたら早めに泌尿器科を受診してください。
前立腺癌検診に関して
前立腺癌検診の目的は、癌の早期発見と癌による死亡率を低下させることです。1年間で見つかる前立腺癌のうち約3割は検診で発見されますが、その他7割は検診以外の一般外来で発見されています。癌発見時の進行度を比較すると、検診発見癌では転移癌は6%に対して、検診外発見癌では転移癌は17%であり、症状が出現してから病院を受診する一般外来で発見された癌は転移癌の割合が増加します。現在船橋市では5年に1回しか前立腺がん検診は行われておりませんが、泌尿器科学会から発表されている前立腺がん検診ガイドラインではPSA1以上は年に1回はPSA検査が推奨されております。検診で問題なかったから5年間大丈夫ということではありませんので、検診で1以上であれば1年後には再検査することをお勧めします。
陰嚢が腫れている
陰嚢内には精巣や精巣上体、血管、精管などが含まれます。陰嚢が腫れている場合、痛みの有無で疾患を考えます。痛みがない場合は陰嚢水腫や精巣癌の可能性があり、痛みがある場合は精巣上体炎、精索静脈瘤、精巣捻転などが考えられます。そのうち、精巣癌や精巣捻転などすぐに治療が必要な疾患は若年者に多いです。特に精巣癌は痛みもないため受診が遅れてしまう方もいます。触診や超音波検査等で診断することが出来ますので、気になる症状があればご相談下さい。
テストステロンの種類
テストステロンは主に精巣から分泌されます。血液中に存在するテストステロンのうち、約43%は性ホルモン結合グロブリンと結合、約53%はアルブミンと結合し、2%は遊離テストステロンとして存在します。結合型と遊離型を合わせたものを総テストステロンと呼びます。これまでの加齢男性性腺機能低下症ガイドラインでは遊離テストステロン値が診断基準の一項目とされておりましたが、2023年に改訂された新たなガイドラインでは総テストステロン2.5ng/ml以下が診断基準の一項目と変更されました。当院でも新しいガイドラインに沿って総テストステロン値による診断を行っております。
陰茎にイボが出来た
陰茎部の乳頭状・カリフラワー状のイボはヒトパピローマウイルス(HPV)による尖圭コンジローマの可能性があります。当院ではコンジローマの治療は行っておりませんので、陰茎部のイボでお困りの方は皮膚科受診をお願いいたします。

症状について(女性泌尿器科)

FEMALE
男女共通の腎臓・尿路・副腎の病気に加え、女性では膀胱炎、尿失禁、骨盤臓器脱などの症状や病気が多いです。
女性は男性よりも尿道が短いため急性膀胱炎を起こしやすく、膀胱や子宮を支える骨盤底筋も緩みやすいため腹圧性尿失禁も起こしやすいのが特徴です。重いものを持つ仕事を長く続け、加齢も加わると、骨盤底筋がさらに緩み、女性特有の病気である骨盤臓器脱が起こります。難病に指定されている尿がたまると膀胱に痛みを感じる間質性膀胱炎も女性に多い病気です。

以下のような自覚症状があるようであれば、受診ください。

  • トイレが近い
  • 頻繁に夜中に起きてトイレに行く
  • 尿が漏れる
  • 排尿に勢いが無い
  • 尿が出にくい
  • 尿が出なくなった
  • 残尿感がある
  • 尿をしてもすっきりしない
  • 尿をするときに痛みがある
  • 尿をした後に痛みがある
  • 尿に血がまじる
  • 尿検査で陽性(尿潜血・たんぱく尿)を指摘された
  • 尿道や股間の奥(会陰部)に不快感がある
  • 膀胱炎が治らない(再発するなど)
急性膀胱炎(頻尿、排尿時痛、残尿感)
女性は尿道が短いなど構造上の問題があって膀胱炎になりやすいとされています。免疫力が低下すると発症しやすくなりますし、尿意を我慢してしまうと発症リスクが上がります。また、清潔にしなければと気にして過度に洗浄を行って再発を繰り返すこともあります。悪化させると腎臓にも感染が拡大してしまう可能性がありますので、症状が治まってからもしっかり治ったと医師が確認するまで継続して治療を続けましょう。
症状として、排尿の最後にしみるような強い痛みを起こす排尿痛があります。頻尿、排尿時の違和感、残尿感、血尿などの症状がともなうこともあります。
休日の膀胱炎の対応
休日に排尿痛・頻尿・残尿感などの膀胱炎症状が出た場合の対応としては、尿の中の細菌を排出することを目的として、水分を多く摂取して下さい。またトイレは我慢せず、頻回に尿を出すことを心掛けてください。水分摂取だけで治ることもありますが、後日尿検査で感染の有無を確認することをお勧めいたします。
急性腎盂腎炎(排尿時痛+腰部痛+発熱)
腎盂は腎臓でつくられた尿がたまる部分です。腎盂腎炎は、主に尿道から入ってきた細菌が膀胱や尿管を通じて腎盂で炎症を起こしている状態です。大腸菌だけでなく、ブドウ球菌や緑膿菌などによって起こっているケースもあります。
症状として、頻尿、残尿感、排尿痛といった膀胱炎と同じ症状が現れ、さらに38度以上の熱、食欲不振や倦怠感、腰や背中の痛みなどを起こすこともあります。尿路結石を合併し、腎盂内に尿がうっ滞している場合は、入院による治療が必要なこともあるため、連携医療機関をご紹介して速やかに適切な治療が受けられるようにしています。
腹圧性尿失禁(腹圧時に尿が漏れる)
尿を漏らさないようにしっかり閉じる尿道括約筋、そして膀胱をはじめとした臓器を支えている骨盤底筋群は筋肉です。妊娠や出産ではこうした筋肉がダメージを受けやすく、また筋肉は加齢で衰えるため機能の低下を起こしやすくなっています。急激にかかる腹圧に機能低下した尿道括約筋や骨盤底筋群が耐え切れないと尿漏れを起こします。
症状として、急に腹圧がかかるとその拍子に尿漏れを起こします。くしゃみ、咳、ジャンプ、爆笑、重いものを持ち上げるなどによって起こりやすくなります。
切迫性尿失禁(急に尿意が出て、トイレまで間に合わない)
しょっちゅうトイレに行きたくなる(頻尿)、夜中に尿意で起きてしまう(夜間頻尿)、急に強い尿意が起こる(切迫感)、急に強い尿意が起こってトイレまで間に合わない(切迫性尿失禁)などでお悩みの女性が増えています。こうした症状は、尿がたまる前に膀胱が収縮してしまう過活動膀胱が原因になっていることが多くなっています。ただし、原因疾患として膀胱炎や結石、がんなどが隠れている可能性もあります。
原因疾患が存在する場合は早期発見が重要ですし、過活動膀胱の場合も治療で改善可能です。こうしたお悩みがありましたら、「年齢のせい」とあきらめてしまわず、早めにご相談ください。
尿道カルンクル(下着に血が付く)
外尿道口にみられる良性のポリープで、閉経期以降に認められることが多いです。多くは症状がなく治療の必要はありませんが、機械的刺激(自転車に乗ってこすれたりするなど)が加わり炎症を起こすと、排尿後ティッシュに血液が付着する、下着に血液が付着する、痛み、などの症状が出現します。ほとんどの場合は軟膏治療で症状の改善を認めます。軟膏治療でも出血、痛みが改善しない場合は外科的切除を行う場合もあります。
神経因性膀胱
尿漏れ、残尿感、排尿しにくいなどの症状が排尿の仕組み自体の問題によって起こっている状態です。脳血管障害の後遺症、脊髄障害、パーキンソン病などによって起こっている可能性もありますし、放置して腎臓にダメージが及ぶこともあります。症状がありましたら早めにご相談ください。
頻尿・尿失禁の行動療法
①生活習慣の改善:
肥満、喫煙、飲水過多(炭酸飲料、アルコール)、便秘は、過活動膀胱や腹圧性尿失禁を悪化させるといわれています。食生活の改善、適度な運動、節酒、規則正しい生活により肥満を改善すると排尿障害の改善にも有効です。
②骨盤底筋運動:
腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁いずれにも有効です。骨盤底筋運動は、骨盤底筋の収縮力を強め腹圧性尿失禁を減らし、また膀胱排尿筋の反射を抑制することによって切迫性尿失禁にも効果があります。
③膀胱訓練:
過活動膀胱に有効で、膀胱容量を増やすため尿をなるべく我慢する訓練法です。過活動膀胱による頻尿では、尿意があるからすぐにトイレにいっても尿はあまり貯まっていません。尿を貯めずに排尿する習慣がつくと膀胱容量がますます小さくなり、頻尿は改善されません。通常の膀胱容量は200~300mlで、2~4時間は尿を貯めることができます。あまり短い間隔で尿意が出てもすぐにトイレに行かず我慢をし、膀胱容量を増やすことで頻尿の改善が期待できます。
心因性頻尿
不安や緊張といったストレスが原因となって頻繁に尿意を感じます。こうした状態が続くと、トイレに行きにくい環境で不安になり、生活やお仕事、学業に大きな支障を及ぼすことがあります。
特に、通勤や通学、会議や試験、打ち合わせ、面接などがつらくなり、外出自体ができなくなるケースもあります。泌尿器科での検査や治療で改善なければ心療内科での治療が必要な場合もあります。思い当たることが少しでもありましたら気軽にご相談ください。
骨盤臓器脱
人間は直立しているため、腹部臓器が下に落ちてしまわないよう骨盤底筋群という強力な筋肉や靭帯がしっかり支えています。女性は妊娠や出産で骨盤底筋群にダメージを受けやすく、また骨盤底筋群は筋肉ですから加齢や閉経で衰えてゆるみます。ダメージやゆるみによって骨盤底筋群が腹部臓器を支えきれなくなると、膣から膀胱や子宮、直腸などが飛び出してしまう骨盤臓器脱を起こすことがあります。骨盤臓器脱は膀胱瘤、子宮脱、直腸瘤などに分けられます。症状としては、ピンポン玉のようなものを触れたり、股に何か挟まったような違和感を認めることがあります。病状の進行度はStage分類を用いて脱出臓器の最下点(一番下がっている部位)で評価します。膣の中で膨らむ状態はStageⅠ、膣口から1㎝以内の脱出はStageⅡ、膣口から1㎝以上の脱出はStageⅢ、完全脱出はStageⅣに分類されます。StageⅢの最下点3cm未満であれば、まずは骨盤底筋運動などの保存療法を行います。それ以上の脱出は手術希望があれば連携先への紹介となります。こうした症状に気付いたら早めに受診してください。
出産後に尿が出ない
骨盤神経の圧迫、膀胱過伸展、会陰部浮腫(尿道圧迫)が原因となり出産後に尿が出なくなることがあります。膀胱過伸展をさけるため時間排尿(3~4時間ごと)をすることが尿閉の予防になります。尿閉時には導尿が必要になりますが、90%以上の方は出産後5日以内に排尿機能が回復し、尿の排出が可能になります。長引く場合には、自己導尿指導を行い膀胱機能の回復をまちます。
尿が出にくい
女性で尿が出にくい場合は、排尿筋低活動(膀胱の収縮力が落ちて尿が出しにくくなる。加齢、糖尿病、子宮・骨盤内手術後が原因となる)、尿道狭窄(尿道上皮の損傷後の治癒過程で狭窄を起こす)、骨盤臓器脱(脱出臓器によって尿道が屈曲され尿が出にくくなる)、薬の副作用(抗精神病薬)などが考えられます。
尿が出にくい状態を放置しておくと、残尿が増え水腎症となり、腎機能障害をきたす場合もあります。尿検査や超音波検査で診断することが出来ますので、放置せずに検査することが勧められます。

症状について(男女共通)

MALE&FEMALE
何回から頻尿?
正常なトイレの回数は、1日7回以下(3~5時間おき)です。1日8回以上は頻尿、夜間2回以上トイレに起きる場合は夜間頻尿と定義されます。正常な1回排尿量は200~300ml、1回の排尿にかかる時間は20~30秒、1日の尿量は1000~1500mlです。水分摂取量などでトイレの回数は個人差がありますが、日常生活に支障をきたすようであれば問題となります。頻尿の原因が前立腺肥大症や過活動膀胱であれば内服薬で症状が期待できます。また他に腫瘍(膀胱癌・前立腺癌)、尿路感染症などの可能性もあります。
泌尿器のがん
泌尿器には、膀胱がん、腎細胞がん、腎盂尿管がんが生じることがあり、男性の場合は前立腺がん・精巣がんが生じることもあります。男性は特に前立腺がんが多いため注意が必要です。
泌尿器のがんも早期発見できれば、心身への負担が少ない治療が可能であり、生活やお仕事への支障を抑えて治せる可能性が高くなります。違和感程度でも気になる症状がありましたらご相談ください。
腎細胞がん(腎がん)
腎臓は血液をろ過して尿をつくっていますが、腎細胞がんでは尿をつくるための尿細管細胞にがんが生じています。男性の発症が多い傾向があって、高血圧、肥満、喫煙などにより発症リスクが上昇し、40歳代から70歳代に多く発症します。
また、腎不全や特定の遺伝子異常などの影響も受けると考えられています。 早期には症状に乏しく、血尿などをきっかけに発見されることもありますが、検診などで受けた検査でたまたま発見されるケースが多くなっています。
進行した場合も症状がほとんどないケースもありますが、肉眼でわかる血尿、腹部のしこり、発熱、食欲不振、体重減少、貧血、腎機能低下、白血球の異常な増加(多血症)、高カルシウム血症、高血圧などが現れることもあります。転移した先でがんが発見され、その後の検査で腎細胞がんが発見されるというケースも珍しくありません。
腎盂尿管がん
腎臓でつくられた尿を集めて尿管に送り出すのが腎盂で、腎盂から膀胱までの間にあるのが尿管です。腎盂や尿管内壁の尿路上皮細胞のどちらか、あるいは両方ががん化したものが腎盂尿管がんです。尿路上皮細胞は膀胱内壁までつながっているため、膀胱がんが同時、あるいは治療後に発生することもあります。 男性に多く、50~70歳台の発症率が高い傾向があり、喫煙は危険因子ですが、発生原因はまだよくわかっていません。
男性は女性の3倍発症しやすく、60歳以上の発症率が高い傾向があり、検診などで受けた検査でたまたま発見されることも多くなっています。
肉眼でもわかる血尿を起こすこともあり、血尿では血液の塊のようなものが出ることもあります。こうした塊が尿管を塞ぐと水腎症を起こして背中が痛むこともあります。こうした症状に気付いたらできるだけ早く泌尿器科を受診してください。
膀胱がん
膀胱は尿をためる袋状の臓器です。膀胱がんは、根の深さが浅い表在がんと、根が深い浸潤がんがあります。表在がんは内視鏡で切除できますが、浸潤がんとなると膀胱を全て摘出する手術が必要となります。尿に血が混じる血尿が膀胱がんの重要な症状です。血尿は痛みはなく、自然に消失することがありますが、一過性の血尿でも放置せずに、できるだけ早く受診してください。
血尿以外では、頻尿、残尿感といったさまざまな排尿障害が現れることもあるため、膀胱炎だと思って受診して発見されるケースもあります。進行すると尿管の出口が塞がれ、尿が腎臓にたまって水腎症を起こし、背中の痛みを生じることもあります。こうした症状に気付いたらすぐに泌尿器科を受診してください。
膀胱がん術後のフォロー
早期の膀胱がんは内視鏡手術で切除することが可能ですが、再発率が高いため定期的な膀胱鏡でのフォローアップが必要になります。当院では、近隣病院と連携し膀胱鏡での定期検査を行っております。がんの悪性度、腫瘍数、腫瘍サイズなどで検査の間隔は異なります。また、膀胱鏡検査で再発を認めた際は連携病院での手術が必要となります。
尿路結石症
女性の尿路結石症は増え続けており、生涯で10人に1人が尿路結石症になるとされています。主な症状は、頻尿、血尿、下腹部痛、わき腹の痛みです。激痛が起こる場合もありますし、ほとんど自覚症状を起こさない場合もあります。
結石が排出されると痛みなどの症状は改善しますが、再発を繰り返すケースが多く、腎機能低下を起こすことも少なくありません。しっかり治療を受けて、再発を予防しましょう。
尿管結石は何日で排石されるか
長径10mm以下の尿管結石は自然排石を期待して、まずは痛み止めや水分摂取など、保存的に経過をみます。自然排石を予測する因子として、最も重要なのは「結石の大きさ」で、5mm以下では68%、5~10mmでは47%は自然排石が期待できると報告されています。 排石されるまでの期間は、長径10㎜以下の尿管結石の約2/3は、発症後4週以内に自然排石されます。結石の大きさで分けると、2mm以下で8.2日、2~4mmで12.2日、4mm以上で22.1日と報告されています。
症状出現後1カ月以上自然排石されない尿管結石は、腎機能障害や感染の危険性があるため、砕石が勧められます。砕石治療が必要な場合は連携病院への紹介となります。
尿路結石を溶かすクスリ
尿路結石で受診された方から結石を溶かす薬がないかと質問されることがあります。尿路結石の90%はカルシウム結石であり、カルシウム結石は薬で溶かすることは出来ません。頻度は低いですが、尿酸結石(尿路結石の約5%)の場合は尿をアルカリ化することで溶解する可能性があります。尿路結石に使用する薬は多くの場合、結石を溶解する薬ではなく排石を促すための薬を使用します。
尿路結石にビールは有効か?
尿路結石の方から「結石の排石促進のためにビールを飲みます」という話を耳にすることがあります。アルコール飲料は利尿作用があるため、排石促進に関して有利に働くとの考えからだと思われます。 しかし、ビールなどのアルコール飲料により一時的な利尿作用で尿量は増えますが、その後は脱水となり、またプリン体摂取により結石形成の促進因子となり得るため、結石を排石させる目的でビールを摂取することは勧められません。
痛みのない腎結石は治療が必要か
腎結石の多くは症状がなく、健診で発見される機会も増えています。腎結石が尿管に下降すると痛みや血尿が出現し、無症候性腎結石での研究では2.5年~5年間の経過観察中に半数以上は結石関連事象(痛み、血尿など)が発生したと報告されています。尿管に下降した場合、小さな結石であれば自然排石が期待できますが、1cm以上の結石の多くは自然排石が困難で砕石が必要となります。 腎結石は症状がなくても「1cm以上の結石」、「水腎症を伴う腎結石」、「増大傾向のある結石」は砕石が勧められます。症状がないからこそ、定期的な経過観察が重要で、結石が増大傾向にないか、水腎症の出現がないかを確認する必要があります。
尿管結石の発生は夏に多い
気温が上昇すると、尿が濃縮され尿量が減少し、尿中のカルシウム濃度が上がるため、結石が形成されやすいと報告されています。夏季は約2倍多く結石発作が起こるという報告もあるため、暑い時期は特に水分摂取を心掛け結石予防に努めてください。
尿路結石の再発予防
尿路結石は5年以内に再発する割合が45%と高く、再発の予防が重要となります。
①1日2L以上の水分摂取:
水分摂取によって尿量を増加させることにより再発予防となります。
②シュウ酸摂取を控える:
尿中に排泄されるシュウ酸が増えると尿路結石が形成されやすく、尿中シュウ酸の約70%は食事由来とされています。そのため尿路結石予防にはシュウ酸摂取を減らすことが重要となります。
シュウ酸を多く含む食品は、ホウレンソウ、タケノコ、チョコレート、ココア、ピーナッツ、アーモンド、紅茶、コーヒー、お茶(玉露・抹茶)などがあり、過剰摂取は控えた方がよいでしょう。摂取する際の工夫として、ホウレンソウはゆでることによりシュウ酸量が半分になります。また、カルシウムと一緒に摂取するとシュウ酸の吸収を減らすことができるため、紅茶、コーヒーを飲む際はミルクを入れて飲むことが勧められます。
③プリン体摂取を控える:
プリン体は動物の内臓、肉・魚に多く含まれ、高プリン食品の過剰摂取は血液や尿中の尿酸値を上昇させます。高尿酸血症・高尿酸尿症は尿酸結石だけでなく、シュウ酸カルシウム結石の形成にも関与しますので、高プリン食品の過剰摂取を控えることが予防になります。またアルコール(特にビール)も尿酸値を上昇させるため飲みすぎに注意が必要です。 食事に注意しても尿酸が高い方、高尿酸尿を伴うシュウ酸カルシウム結石の再発予防には尿酸生成抑制薬が有効です。
④クエン酸製剤:
低クエン酸尿はカルシウム結石の原因となります。クエン酸を服用し尿中クエン酸が増加すると、クエン酸が尿中でカルシウムと結合し、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムの結晶形成を抑制するため、カルシウム結石の再発予防に有効です。
またクエン酸は尿中pHを上昇させ酸性尿を改善するため、尿酸結石の再発予防にも有効です。クエン酸製剤を内服する際は、尿pHは6.0~7.0の維持を目標とし、過度の尿アルカリ化(pH7.5以上)や、血清カリウム値上昇に注意をしながら薬の内服調節を行います。
腎機能障害
腎臓の機能が低下している状態です。腎臓に障害が起こる腎不全には急性と慢性があり、どちらも早期に治療しないと十分な回復が望めなくなるため注意が必要です。
尿が出ない、尿がうまく出ないのは急性腎不全の典型的な症状で、特に早急な受診が不可欠です。
慢性腎不全は早期の自覚症状がほとんどないため、違和感程度での受診が重要になります。慢性腎不全が進行すると、頻尿、夜間頻尿、顔や足のむくみ、食欲低下、息切れ、疲れやすいといった症状が現れますが、それほど強い症状ではないことが多いため早めに泌尿器科を受診してください。
高尿酸血症
尿酸は体内の細胞内にある遺伝子の成分である核酸の分解物であり、またエネルギーの素となる物質の代謝産物でもあります。また尿酸の原料は肉類を代表とする食物にも多く含まれるため、これらを食べることでも体内で尿酸が増えていきます。
尿酸は毎日体内で作られ、そのうちの一定量は腎臓より排泄されています。何らかの異常で尿酸が過剰に産生されたり (たとえば核酸を多く含む栄養価の高い食事を摂りすぎた、飲酒やストレスなど)、あるいは腎臓での排泄がうまく いかなくなると尿酸が体内で溜まっていきます。この状態を高尿酸血症といい血清尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態をいいます。
高尿酸血症は、痛風、腎結石の原因となることがあります。まずは、生活指導として、「飲酒習慣の改善」「肥満の改善」「プリン体摂取の制限」を行い、それでも改善がない場合は内服治療を行います。
カテーテル畜尿バッグが紫色になる
膀胱留置カテーテルの畜尿バッグやカテーテルが紫色に変色することがあります。食事由来のアミノ酸が、便秘で増殖した腸内細菌や、尿中の細菌によって、変色してバッグに沈着することが原因で、尿が紫色になっているわけではないので心配はありません。 カテーテル留置中は、尿量が減ると尿混濁による閉塞や尿路感染症、結石形成の危険性が増えます。そのため水分を多く摂取し、尿量を増やすことを心掛けてください。
尿潜血陽性を指摘された
人間ドックや健診診断などで尿潜血陽性を指摘された場合、最も注意すべきは尿路癌の存在です。尿路癌は45才頃から増加し60才以上で急激に増加します。特に「喫煙歴のある方、骨盤放射線照射歴のある方、40才以上の男性」は高リスク群となり注意が必要となります。また変形赤血球や蛋白尿を認める場合は腎炎などの腎疾患の検査が必要となります。まずは、超音波検査や尿細胞診検査など痛みのない検査を行います。
肉眼的血尿(赤い尿が出る)
肉眼的血尿には痛みを伴う血尿と、痛みを伴わない血尿があります。痛みを伴う血尿は、尿路感染症や結石による血尿の場合がありますが、注意すべきなのは痛みのない血尿(無症候性血尿)です。原因として尿路癌(腎がん・腎盂尿管がん・膀胱がん・前立腺癌)の可能性があるため詳しい検査が必要となります。超音波、膀胱鏡、CT、採血などで精査を行います。以上の検査で明らかな異常が認められなかった場合でも、病変が小さすぎてわからない場合もあるため定期的な経過観察を行います。特に反復する血尿は10%以上でその後尿路癌が発見された報告があるため、厳重な経過観察を行います。
一時的な無症候性血尿では自然に改善してしまうため病院に来ないで放置してしまう方もいますが、1年後に来院して進行がんとなる場合もあります。血尿が出た際はまずは受診をお勧めします。
休日の血尿の対応
血尿には痛みなどの症状がある血尿と、症状のない血尿があります。排尿時痛を伴う血尿であれば膀胱炎による血尿が疑われ、背部痛や下腹部痛を伴う血尿は尿路結石が疑われます。痛みが強い場合は救急病院を受診した方がいいのですが、痛みのない血尿はどうすべきでしょうか。
痛みのない血尿の場合は、救急病院を受診しても原因の特定は困難なことが多いです。慌てずにまずは水分を多く摂取して下さい。多くは出血が薄くなり、血尿が改善してきます。救急対応が必要な場合は、血の塊が尿道に詰まって尿が出なくなった状態です。その際はカテーテルを留置し、状態によっては入院が必要になることもあります。血塊形成予防のためにも水分を多く摂取して下さい。
痛みのない血尿の場合、緊急性は低いのですが、尿路癌からの出血の可能性があり、より詳しい検査が必要となります。休日の対応としてはまずは水分を多く摂取をし、後日泌尿器科にて精査をすることをお勧めします。
多尿
正常の1日尿量は1000~1500mlですが、1日40ml/kg体重以上(体重50Kgの場合2000ml以上)は多尿と定義されます。多尿の原因は、糖尿病、尿崩症、心不全、睡眠時無呼吸症候群、腎不全、心因性多飲、抗利尿ホルモン分泌の低下など様々な疾患があります。頻尿で来院される方の中には、多尿による頻尿の場合もあります。1日の尿量測定を行うことで診断を行います。
夜間頻尿の対策
夜間頻尿の方のうち、夜間多尿(夜間尿量が多く、高齢者では夜間尿量が1日尿量の33%以上、若年者では夜間尿量が1日尿量の20%以上の方)の対策として、夕食後のアルコール摂取の制限、カフェイン摂取の制限、日中の運動(運動による筋肉のポンプ作用で体内の余分な水分を血管内に戻し、汗として体外に排出する)、下肢挙上しながらの30分以内の昼寝、日光浴、弾性ストッキングの使用が有効と報告されています。夜間多尿と診断された場合は、日常生活の習慣を変えることで症状が緩和されることが期待できます。

症状について(小児泌尿器科)

PEDIATRICS
成人と異なり、尿路性器の先天奇形や排尿機能の発達が遅れることによる症状や病気が診療の中心となります。
夜尿症、包皮の炎症や排尿困難の原因となる包茎、急性腎盂腎炎の原因となる膀胱尿管逆流症、陰嚢の腫大の原因となる陰嚢水腫、陰嚢内に精巣を確認できない停留精巣、先天奇形ではないが、陰嚢の痛みや腫れの原因となる精巣捻転などが代表的な病気となります。

以下のような自覚症状があるようであれば、受診ください。

  • トイレが近い
  • 頻繁に夜中に起きてトイレに行く
  • 尿が漏れる
  • 排尿に勢いが無い
  • 尿が出にくい
  • 尿が出なくなった
  • 残尿感がある
  • 尿をしてもすっきりしない
  • 尿をするときに痛みがある
  • 尿をした後に痛みがある
  • 尿に血がまじる
  • 膀胱炎が治らない(再発するなど)
夜間におしっこがもれる(夜尿症・小児)
夜間のおしっこの量が多い夜間多尿、おしっこを十分にためられない膀胱蓄尿障害、夜間の尿意に対して目が覚めない夜間尿意に対する覚醒障害などが疑われます。子どものおねしょ(夜尿症)は、「5歳以上で1ヶ月に1回以上の夜尿が3ヶ月以上続く場合」と定義されます。
夜寝ている間の尿量が膀胱に貯められる尿量より多いと、夜尿症となります。夜尿症は、睡眠中に膀胱がいっぱいになっても、尿意で目をさますことができないという覚醒障害に加えて、膀胱の容量が小さい(通常就寝時は日中より膀胱に貯められる尿量が増えます)、夜間尿量が異常に多い(抗利尿ホルモンの分泌不足)ことが原因でおこります。夜尿は成長とともに徐々に治りますが、薬での治療や生活指導を行うと、治癒までの期間が短縮すると報告されています。
夜尿症の自然治癒の平均年齢は7.3歳ですので、当院では8歳くらいで夜尿症でお困りであれば薬での治療を行っております。薬は夜間尿量を減少させる効果のある薬剤を就眠直前に使用します(抗利尿ホルモン療法)。また夕食は寝る2~3時間前に済ませる、夕食後から寝るまでの飲水はコップ1杯程度にする、寝る前にトイレに行く、などの生活改善も重要となります。
日中のおしっこが近い(昼間頻尿)
子供さんは多感な時期にあり、家庭や学校幼稚園でのちょっとした原因で頻尿になったりします。多くの場合はあまり心配せず様子を見ていて構いませんが、長引く場合や痛がったりするようでしたら受診をしてください。
おしっこの量が多い多尿、おしっこの1回量が少なくなる膀胱機能障害(原因は膀胱の病気、神経系の病気、心因性)、尿道が狭くなる病気(尿道狭窄)や尿路感染症などが疑われます。
急に強い尿意がある(尿意切迫感)
膀胱の刺激や活動が亢進する過活動膀胱、尿路感染症、尿路結石、神経系の病気、薬剤性、心因性などが疑われます。
睾丸を触れない(小児)
睾丸が陰嚢からお腹の方へ移動する移動精巣、睾丸が陰嚢内に収まっていない停留精巣などが疑われます。
陰嚢に痛みや腫れがある(小児)
陰嚢内に水がたまっている陰嚢水腫、陰のうやそけい菅内の蔓状(つるじょう)の静脈が異常にふくらんだ精索静脈瘤、睾丸がねじれる精巣捻転、睾丸が腫瘍化する精巣腫瘍、腸が陰嚢内に入り込む鼠径ヘルニアの嵌頓、細菌などの微生物が副睾丸(精巣上体)に感染を起こした精巣上体炎などが疑われます。
ペニスに痛みや腫れがある(小児)
細菌などの微生物が包皮に感染を起こした亀頭包皮炎、包皮を引っ張り無理にペニスの頭を出すことにより、狭い包皮で締め付けられて、亀頭がひどく腫れてしまう嵌頓包茎などが考えられます。
おしっこをすると痛みがある(小児の排尿痛)
細菌やウイルスなどの微生物が尿道や膀胱に感染した尿道炎や膀胱炎などが疑われます。
ペニスが曲がっている、おしっこの出口がペニスの先端ではない
ペニスの裏側におしっこの出口(外尿道口)がある尿道下裂や陰茎弯曲が疑われます。
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